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「て、手伝います」
「え?」
「一緒に集めちゃいましょう」
「……すみません」
その姿を見て無慈悲な思考を撤回。床に膝をついてノートや教科書に手を伸ばした。
「はい、終わったよ」
「ん…」
「危ないから電車の中は走っちゃダメだからね。分かった?」
「……分かった」
「よし。良い子だ」
広い集めると女性が男の子を諭す。帽子の被さった頭を撫でながら。
「バイバ~イ」
そのまま男の子は手を振って隣の車両へと移動。立ち去る背中を優しく見守った。
「あの、ありがとうございました」
「え?」
「手伝ってもらっちゃって」
「いえ、そんな…」
2人きりになると女性からお礼の言葉が飛んでくる。丁寧に頭を下げる動作と共に。
「優しい人ですね。困ってる子を助けてあげられるなんて」
「……そんな事はないです」
「謙遜しなくても。少なくとも声をかけてきてくれて私は嬉しかったですよ」
「は、はぁ…」
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