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本来ならその台詞を言われるのは彼女の方。もし先に動き出す人物がいなければ自分はあの小学生を見捨てていたハズだった。
「アナタみたいな人がもっとたくさんいたら良いんですけどね」
「……世の中そんなに上手くいかないですって」
「そうでしょうか。私はそうは思いませんけど」
「皆、人の行動には無関心ですから」
「けどアナタは助けてくれたじゃないですか」
「え?」
卑屈になっていると不意を突くような台詞を浴びせられる。休み時間の出来事を吹き飛ばしてしまうような言葉を。
「今ここで困っている男の子を助けてあげた男性がいる。それは事実ですよね?」
「えっと…」
「どれだけ無関心だらけの世の中だったとしても、どれだけ冷たい人間ばかりの世界だったとしても、この出来事は揺らがないハズです」
「はぁ…」
「だからその勇気を忘れないであげてください」
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