1.光と影

13/14
前へ
/801ページ
次へ
 それはまるでドラマに出てくる教師のような発言。荒み始めていた心を浄化してくれるメッセージだった。 「で、でもそれを言うなら先に行動したアナタの方が凄いですよ」 「あはは……子供が泣いてる姿を見てたら体が勝手に動いちゃって」 「素敵な事だと思います。その優しい気持ちを忘れないであげてください」 「……ありがとうございます」  賛辞を賛辞で返す。緊張感と少々の疑問を抱きながらも。 「え?」 「んっ…」 「あ、あの…」 「なんかすいません。取り乱しちゃって」  その瞬間に彼女の異変を察知。細い指先で目元を擦り始めてしまった。 「ちょっと色々あって…」 「いろいろ…」 「本当に大丈夫ですから。なので気にしないでください」 「けど…」  意識を急激に奪われる。隣にいる初対面の人間に向かって。 「あ……私、ここで下りないと」 「え?」
/801ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3470人が本棚に入れています
本棚に追加