2.渇きと潤い

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「……眩しっ」  ガラス越しに射し込んでくる光に目が眩んでしまう。しかし慣れるまでに要する時間は僅か数秒。ついでに窓を開けて部屋の空気を入れ替えた。 「う~、やだなぁ…」  机と向かい合うとケータイを手に取り、届いていたメッセージを確認する。適当な内容を打ち込み送信。そのまま壁に近付きハンガーを掴んだ。夏仕様に変わったばかりの高校の制服を。 「はぁ…」  朝の登校なんて億劫でしかない。眠いし面倒くさいしでデメリットの連続。  それでもサボりろうとは思わなかった。親や教師に叱られる方が遥かに厄介だと理解していたから。 「ん?」  冷たい衣類が良い眠気覚ましになる。着替え終わると部屋を出て廊下に移動。 「う、うわあぁあぁぁっ!!」  そのまま階段までやって来るがアクシデントに見舞われた。足を踏み外して転落するという事故に。
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