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「うりゃっ!」
「ぅあっ…」
「起きないと窒息するよ」
「……ふがっ、がっ」
更に鼻をつまんで攻撃開始。豚を連想させる苦しそうな呼吸が聞こえてきた。
けれどそれでもターゲットが目を覚ます気配は皆無。よほど深い眠りについているらしい。
「はぁ…」
呆れるように溜め息をつく。脱力して床の上に正座した。
彼女はいつもこう。朝起こしに来てくれる事も無いし、お弁当を作ってくれた事もない。
共同生活を始めたばかりの頃、緊張と戸惑いで興奮した記憶はある。なのに驚くほど恋愛関係に発展する事は無かった。その原因はお互いの容姿や性格。
物語にはある程度、登場人物の魅力やスキルが必要なのだろう。平々凡々な人間同士では特別な世界が生み出せないと知っただけの結果となった。
「よいしょっ……と」
小さな体を抱きかかえる。ベッドまで運ぶとやや乱暴に投げた。
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