2.渇きと潤い

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「先に行ってるよ」  このままここにいても無駄な時間を過ごすだけ。一足先にリビングへと戻る事にした。 「うわあぁあぁぁっ!?」  しかし途中でトラブルに見舞われる。二度目となる階段からの転落に。 「……いちち」  強打した腰を手で押さえた。ただ日頃の行いが良いのか今回も怪我を負った様子は無し。 「あぁ~、目が覚める。サッパリするなぁ」  リビングに戻って来ると椅子には座らず洗面所へ。冷たい水で顔を洗った。 「雅人、香織は?」 「うん? 逆立ちしてたよ」 「はぁ?」  タオルで水滴を拭っていると母親が声をかけてくる。手に包丁を持ちながら。 「起こしてきてって言ったでしょ!」 「ごめん、無理だった」 「……あ?」  更に続けて威圧的なオーラを放出。鬼のような形相で睨み付けてきた。
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