2.渇きと潤い

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 全て食べ終えるとそれぞれ身支度を開始。鍵を閉めて全員で自宅を出発した。 「急いで。遅刻しちゃう」 「ハァ、ハァ……腰が痛い」 「同じく」  妹と2人して駅を目指して走る。両親は揃って車出勤なのでスタート地点から別行動。  いつも登校は切羽詰まったレースに近い。寝坊助のせいで時間に余裕を持てなかった。 「ふぅ……どうにか間に合ったぁ」 「私の日頃の行いのおかげだね」 「いや、誰かさんがいなければもう一本早いヤツに乗れるんだが」 「またまたぁ。女の子と一緒に通学出来て嬉しいクセに」 「今まで何人の男子に告られた事ある?」 「一度だって無いよ! 悪かったね!!」  駅へと到着すると足を止めずに改札をくぐる。タイミングよく車両が停車していたので慌てて乗車。通勤ラッシュなので人は多い。席に座るどころか立っている事さえ困難な混雑具合だった。 「ねぇ、今日の私どう?」 「何が?」
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