2.渇きと潤い

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「可愛い?」 「いつも通りだけど」 「ならいつもはどう思ってくれてるの?」 「なんとも思ってないよ」 「じゃあ可愛いって事だね」 「思考回路どうなってるの?」  2人してドア付近を陣取る。普段はもう1名加えての3人登校なのだが今日はいない。どうやら先に行ってしまったらしい。 「ぐぐっ…」  満員電車の中で望んでもいない押しくらまんじゅうを展開。息苦しい状態のまま数十分の時間を費して目的の駅へと到着した。 「じゃあ授業中に居眠りしないように気を付けなよ」 「まーくんこそ暴れたりタバコ吸ったりしたらダメだからね」 「香織こそお漏らししたりしたらダメだよ」 「ならまーくんは…」 「この争い、不毛だからやめない?」  外へと飛び出すと駅から近い校門をダッシュでくぐる。無駄なやり取りを繰り広げながら。 「お~い、雅人」 「ん?」  昇降口付近までやって来た後は妹と解散。入れ違いに何者かが名前を呼びながら近付いて来た。
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