2.渇きと潤い

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 友人が重ねた両手をこちらに向けてくる。悪びれる様子の無い態度で。 「な? 良いだろ?」 「ダメだよ。宿題なんだから自力でやりなって」 「お前、俺が先生に叱られてもいいって言うのか。親友の俺が困ってるというのに見捨てようっていうのか、えぇ!?」 「なら昨日は宿題やらないで何やってたのさ」 「エロゲやってた。家庭教師のお姉さんとイチャイチャしてた」 「イチャイチャしてないで勉強教えてもらいなよ」  彼はあまり成績がいい方ではない。ついでに素行も。  ただ気が合うのでいつも共に過ごしていた。事情により通学は別だがクラスは同じなので。 「あ~あ、今日もまた退屈な1日の始まりか」 「目新しいイベントでも起きてほしいよね」 「エロい転校生が来たり、エロい教育実習生が来たり、エロい悪霊に取り憑かれたりな」 「え? 金縛りって本当の話なの?」  教室に着くとほぼ全員のクラスメートの姿が目に入ってくる。どうやら自分達2人が最後の登校者だった様子。
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