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「……っしと」
机の上に置かれていた教科書類を引き出しの中に仕舞い込む。開かれていたノートのページはほぼ白紙。
寝ている間に不思議な夢を見ていた気がした。その内容は思い出せないが、奇妙な感覚だけが心の中に渦巻いていた。
「いい天気…」
片付けが終わると教室を出る。眠気覚ましに顔でも洗おうかと。
窓の外に目をやった瞬間に広々とした青空を発見。初夏を思わせる太陽が照り付けていた。
「ん…」
少し動いただけで汗をかいてしまう。けれど不快感はほとんど感じない。学校を抜け出してどこかに散歩にでも出かけてしまおうか。そんな気持ちにさせられる綺麗な世界が校舎の外全体に広がっていた。
「赤井くん、ちょっと」
「はい?」
用を済ませるとトイレから出る。そこで甲高い声の人物と遭遇した。
「次の授業でね、辞書を使うのよ」
「は、はぁ…」
「だから悪いんだけど図書室から借りておいてくれないかしら。班の数分」
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