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友人が元気良く挨拶して立ち去る。その背中を小さく手を振りながら見送った。
「……行っちゃった」
しばらくその場で立ち尽くす。閑散とした住宅街で。
外には出てきたがする事がない。この辺りには遊び場もないし、かつての友人達とはほとんど連絡を取り合っていないから。
休みというのは自由で退屈だ。最近、そう感じる機会が増えていた。
「はぁ…」
足の向きを変えて歩き始める。来た道とは違うルートを。
春休みなので人が多い。自動車の交通量も普段より増えている気がした。
「……楽しそうだなぁ」
途中、住宅街で小さな公園を発見する。小学生が数人で遊びまわっている姿を。その光景を昔の自分と重ねながら観察した。
「ん…」
もう二度とあの時代に戻る事は出来ない。再現する事もやり直す事も。そう考えるとまるでこの世界に1人だけ取り残されたような錯覚に襲われた。
「はぁ~あ…」
しばらく見ない間に街の様子は変わっていく。住んでいる人も風景も。
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