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「へっくし!」
1日の授業が終わると真っ直ぐに学校を出る。電車の中で豪快なクシャミを炸裂させた。
「あぁ…」
耳鳴りがやまない。ついでに窓から射し込む西日に目が眩む。
席は空いていたがドア付近に立っていた。向かい相手の視線を気にせず景色を眺めたくて。
「ん…」
毎日の通学には電車を利用している。そして数少ない友人達とは教室を出る瞬間に別行動。だから下校時はいつも1人で乗車していた。
「バイトでもするべきかなぁ…」
入学してから1年以上が経過したのに夢や目標を持っていない。社会経験を積むような行為にすらチャレンジしていない。ひたすら怠惰な日々を送っていた。
「うわっ!?」
「ん?」
感傷に浸っていると意識を引く光景が視界に飛び込んでくる。ランドセルを背負った男の子が床に転倒する姿が。
「うぇぇ~ん」
「また派手にやったなぁ…」
歩いてる時に車両が揺れてバランスを崩してしまったらしい。ついでにフタが開いた鞄からは中身が飛び散ってしまっていた。
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