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何十年ぶりだろうか。こんなにも気分が高揚するのは。時の流れは愛情だけでなく、この気持ちも忘れさせてしまっていた。
加奈子は空白となっていた愛情を埋めるかのように辰也を愛した。辰也もそんな加奈子に答えるように、愛してくれた。
今、ここに二人の純愛は復活したのである。
時は経ち気付けば、夜中になっていた。新鮮な気持ちとはいえ、加奈子は熟年だ。疲れ、静かに寝息を立てて眠ってしまった。
辰也は起き上がると、服を着替え直しすと、貴重品を詰めた鞄を持ち家を出た。
表に出て、不思議そうな顔をしていた。
「しかし、妙な女もいたものだ。誰もいない留守を狙って空き巣をしようとしたら、テーブルには離婚届が置いてあった。離婚届を旦那に突き付けられた上、俺に空き巣されるとは、何とも不幸な女がいると思っていたが、まさか、その当事者に襲われるとは・・・。俺のことを、旦那と間違えるほどに愛に飢えていたのか?まあいいか。この家の貴重品以外に、いい臨時収入でも貰ったと思えば・・・」
空き巣はそう呟くと、加奈子の家から奪った貴重品を手に夜の街へと繰り出すのであった。
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