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返り血で真っ赤に染まり、人馬共に恐ろしい姿になっている。
戦化粧の一つだと顔だけを拭い後はそのまま。
「あのような腰抜けが大将とは情けない。何騎残って居るか」
それは事実で、楚軍では弱将が軍を率いることはなかった。
本来、軍を指揮する能力と戦闘を行う能力とは別物。それと解っていながら弱いことが許せなかったから。
「二十八騎全て残って居ります」
全員が血まみれで、負傷をしている者も居たが欠けることなく付き従ってきていた。
大王と共に数多の戦場を駈ける。彼等の栄誉であり、誇りであり、まさに人生そのものだった。
「うむ。次はあれじゃ、行くぞ!」
勢い良く別の集団に突入する。歩兵がどれだけ肩を寄せ合い密集しようとも関係なかった。
戟を振るう度に命が失われていく。大地が捧げられる地を啜った。
地の神が存在しているならば、どれだけ貪欲なことだろうか。
大将を見つけると一直線に向かって行く。守兵を蹴散らし迫ると、これまた一合と合わさずに大将首を切り離してしまう。
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