竜を撃つもの

召喚術士、「ミカエル」

「超重量級のファッキンゴーレム8体なら大丈夫だと思ったか？」
言葉は汚いが、彼もまた「ミカエル」である。
「ミカエル」の真名はマイケル。親しい者からはマイクと呼ばれている。マイクの所持する書物は、彼自ら記したもので、「兵器目録」と題する魔術書である。兵器目録には彼が詠唱する呪文の一切が記されていて、その1ページ1ページに召喚対象と詠唱すべき呪文が記されているのだ。
召喚術士に限らず魔術師の類いというものは、呪文の詠唱中は、全くの無防備である。もちろん、マイクも含めて。
「復讐者は鋼鉄を貫き、大地をえぐる。復讐者は雷鳴と共にありて、雷鳴が為にある。弾くは鉄の雨、備うるは鉄の躯、放つは復讐者の弾丸。20の雷鳴轟くとき、8つの石人形土に還る。いざ集え地を焼く雷鳴よ。攻撃の10、雷鳴の二世、編隊、20！」
マイクの詠唱が終わる。4月独特の、やや乾いた、暖かい空に現れたのは、荒れ狂う積乱雲。