問3

27/49
前へ
/172ページ
次へ
「例えば…」 「例えば?」 先生は頬杖をついて私を見下ろすような体勢になる。 ゆっくりと細められた瞳に、何かを感ぜずにはいられない。 「…波田野さんの質問に付き合ってあげたりとか」 「あぁ…」 そういえばそんなこともあった。 あれからエリちゃんとはこれといった接点はない。 質問に一緒に行っていたのも、ホントあの数日だけだった。 「…金森くんの勉強に付き合ってあげたり」 「え…」 知ってたんですか? 疑問を率直に口にすれば。 悪い? 悪びれることなく口を尖らせる先生。 その表情がとても20代後半になる大人とは思えなくて。 「フフッ…」 「……何笑ってんの?」 なんとなく笑ってしまった。 「もー…この話やめ。続きやろ」 「はい…」 ムッとした顔でそう言う先生が可愛くて、また笑ってしまった。 「あ、ペンのインク切れた」 「…え」 じゃあ勉強しようかと思ったら、出鼻を挫かれた。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

278人が本棚に入れています
本棚に追加