問3

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「なんかペンないのー?」 「え、ちょ、なにしてるんですか!?」 ガサガサとやり始めた先生の手元を見れば、私の筆入れを漁っていた。 「ボールペンとかないの?」 先生のものではないはずなのに…。 先生は、我が物顔で私の筆入れから次々とペンを出していく。 「あります!貸しますから、待ってください!」 よくわからないけどなんだか恥ずかしくなって、先生から筆入れを奪い取る。 「えっとー…、じゃあこれでいいですか?」 「うん、何でもいいよー」 漁ってた人が言う言葉かっ。 心の中でツッコんでみる。 「はい、どうぞ」 「サァンキュー」 私が先生に貸したのは、自分の好きな色を何色か選んで入れられるタイプのペン。 「おぉ…色んな色あんねぇ…」 渡された先生は、カチカチ、ペンを出して書いてみては他の色を出して書き…を繰り返して喜んでいる。 そんな先生は本当に20代後半の大の大人には見えない。
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