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「じゃあ続けんね。ここにはね、こうやって補助線を引いてからこの公式を使うわけ」
急に先生スイッチが入ったのか、さっきとは打って変わって真剣な表情の先生。
「……先生」
「…ん?」
その真剣な表情に問いかけた。
「…先生って、どっか行ったりするんですか?」
「え…」
先生は少し驚いたような顔を見せた。
でもそれは一瞬のことで。
「…どっか行くって、転勤のこと?」
コクリと頷けば、困ったように笑って。
「うーん、そういうのは上の人が決めることだからねー…」
ハハ、と乾いた笑いが静かな教室に響いた。
「…ハハ、ですよねー…」
それに合わせたいわけではなかったけど、私もまた乾いた笑いしか出来なかった。
なんとなく、気まずくて。
先生がさみしそうな顔するから、
不安が込み上げてきたの。
「変なこと聞いてすいません。続き、お願いします」
「あぁ…」
自ら、会話を中断させた。
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