問3

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駄目、なんて。 「……っ、…いいよ」 言えるわけない。 言える立場でもない。 「ありがと!」 「よかったねー」「うん!」なんて。 友達と会話しながら席に戻っていく恵理ちゃん。 「(…胸が)」 苦しいような、痛いような、表現のしようがないこの感情。 「(今日は厄日か…)」 はぁ、とため息をついて、再びワークに向かう。 その時。 「はい!どぉ、おぉ、ぞぉ」 妙な声と共に、目の前に今川焼があらわれる。 「っ!?」 驚いて顔をあげると、亜紀が紙袋を持って立っていた。 「亜紀かぁー…」 「ひどくない?その態度。せっかく今川焼買ってきてあげたのにぃ!!」 「ごめんごめん、ありがとー」 ホカホカと湯気を立てる丸いそれを受け取る。 私たちの学校の近くに、冬季限定で今川焼の店が出るのだ。 1個100円とお手頃価格だからか、学生からの支持がすごい。
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