問3

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「あー、これかー」 私の机の前まで来ると、その上にある今川焼を指さしてニヤッと笑う。 「だいぶ余裕そうですなぁ」 「……」 私の前の席に座り、私と先生は向かい合わせの状態になる。 「…食べます?」 「…いいの?」 私も今川焼を指さして、先生に問いかける。 「…食べたそうだったんで」 「…わかる?」 いたずらっこみたいな笑顔を見せる先生。 ホント、20代後半の大人には見えない。 「全部あんこですけど…良かったらどうぞ?」 「マジ?あんこ好きだから大丈夫ー。サンキュー」 「いえいえ、どうぞ」 多分、先生に食べてもらえるんなら、亜紀も喜ぶんじゃないだろうか。 「…」 「…」 無言で今川焼を食べる生徒と教師。 なんてシュールな光景だろう…。 「…よし、やろう。続きから」 「はぁい」 今川焼を食べてから質問に移る。 「まずこれなんですけど…、これ、最初から意味わかんないんですよ」 「うんうん、これは…」 私の問題集を手に、カチカチとボールペンを出してはしまい出してはしまいを繰り返す先生。
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