問3

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「そっかそっか、どれ?どこからわかんなくなった?」 優しい口調の先生。 荒んだ心は幾分か潤ったけど。 「…ここで…計算が…合わなくなって…」 あぁ、私って嫌な女。 こうやって先生を自分の傍にだけ置いておきたいなんて。 どこにも行かないで。 恵理ちゃんと喋って欲しくもない。 こんなどす黒い感情、知らなかった。 恋をすると、皆こんな風になるの? 恋する乙女は可愛いんじゃないの? もう、わかんないよ。 「…向井さん?大丈夫?」 先生に声を掛けられて、ハッと意識を取り戻す。 …いけない。 今はこんなこと考えてる場合じゃない。 先生と話せてる今を大事にしなくちゃ…。 「…大丈夫です…!」 無理やりかもしれないけど笑顔を作って。 先生と対峙する。 「向井さんごめん、今日は部活に行かなきゃいけないんだ。だからあと少ししかいられないんだ…」 「そうなんですか…わかりました!じゃあ時間いっぱいまで…」 そうだ、今を大事にしなければ。 そうでなければ、きっと、後悔する―――…。
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