問3

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赤ペンで書かれた、先生からの一言。 飛び上がるくらい嬉しくて。 胸がキューッと締め付けられた。 限りを知ることなく大きくなっていく、先生への気持ち。 このままずっと先生に数学を教えてもらいたい。 欲望がどんどん大きくなっていく。 際限が無い。 でも。 やってくるんだ、 終わりが。 そんなこともわからなくなるくらい、私は盲目だったらしい。 終わりは案外と普通にやって来た。 卒業式が終わって、離任式。 その日は朝から何かがおかしかった。 いつも通り、3年生の代わりの昇降口の清掃。 「ごめんごめん、遅くなった」 その日、先生は遅れて清掃場所にやって来た。 しかもその格好はスーツではなく、ジャージ。 「センセー、何で今日ジャージなんすかー?」 同じ清掃班の男子が率直に尋ねれば。 「うーん、なんとなく?」 曖昧な返事。 嫌な予感がした。
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