問3

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胸騒ぎが消えないまま、離任式のために生徒たちが体育館に集まり始める。 この胸騒ぎをどうにかしたい。 早く先生の姿を見て、安心したいの。 ステージではなくて、体育館の壁際に立っている先生を。 と。 私のクラスの列から聞こえてくる会話に、思わず耳を疑った。 「ねー、なんか古賀先生って転勤らしいよ?」 「え?嘘!?」 「わかんないけどー…」 「えぇー、ヤダァー!」 え…、 転勤…する、の? ドクン、と何かが体内で波打った。 先生の姿を探すも、どこにも見えない。 ねぇ、嘘でしょ? 他の先生は集まり終わってるよ? こんな時に限って何があったのか知らないけど、なかなか式が始まらない。 嘘、嘘、嘘―――…。 ゴトン、と音がして、教務主任が話を始める。 『えー、静かにー。お待たせしました、これから離任式を始めますので、静かにー』 開式の辞を教頭が述べる。 『それでは離任される先生方が入場します。拍手で迎えましょう』
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