問3

46/49
前へ
/172ページ
次へ
お決まりのセリフで体育館の入口の扉が開き、校長を先頭に離任する教師陣が入場してくる。 嘘、この中に先生がいるわけない。 拍手の手を止めないようにしながらも、必死で先生の姿を探す。 嘘、嘘。 いるわけないんだから―――…。 年配の先生から順に登壇し、用意された椅子の前に立つ。 いるわけない…。 ホントは体育館の後ろの、私が見えないようなところにいるんでしょ? でも、 見つけてしまった。 先生の姿は入場する先生の本当に後ろの後ろにいた。 さっきまで来ていなかったスーツを着て。 さっきまで掛けていた眼鏡を外して。 喜んでいるとも、悲しんでいるともいえない。 そんな笑顔でステージに上がる。 『えー…それでは離任される先生の紹介をしたいと思います』 最後に登壇した校長がステージの端に立ち、順に先生方の紹介をしていく。 『続きましてー…古賀稜介先生』 「はい」 先生の名前が呼ばれ、先生は静かに立ち上がる。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

278人が本棚に入れています
本棚に追加