人生最高の失恋

問3

『古賀先生には数学担当として1年間、勤務してもらいました』

1年間。

私たちと一緒にこの学校に来たんだ…。

『生徒に非常に人気がありー…』

そうだね。

自分もその一人だったんだし…。

『親身に生徒の質問に答えている姿を拝見しておりました』

げ。

まさか私とかじゃないよね？

『本当にありがとうございました』

うん。

本当に、ありがとうございました。

離任式の間、私は終始冷静だった。

さっきまで先生がステージ上にいるのがあんなに嫌だったのに。

もう私の恋は終わった。

そのことに妙に納得していた。

終わりが見える恋だったから、こんなに真剣になれたのかも。

そんな風に考えていた。

所詮、生徒と教師。

最初から始まってなんていなかったのかも。

全部私の妄想で。

現実なんて見えてなかっただけかもしれないから。

ステージ上では先生が最後の挨拶をしている。

『えっと…今までありがとうございました。毎日が楽しくて…皆さんとお別れするのは残念です…』

ねぇ、先生。