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離任式は何事もなく終わった。
このまま帰りたかったのに。
担任が「連絡事項があるから少し残れ」なんて言うから。
帰れなくなったじゃないか…。
教室では、もうこれでこのクラスも最後だから、と皆写真を撮ったり最後のアドレス交換に勤しんでいる。
どの輪にも入る気になれなくて、ただ皆が騒いでいるのを見つめていた。
「（早く終わらないかな…）」
はぁ、とついついため息をついてしまう。
と。
「夏乃ぉ！今日で夏乃と隣でいられるのも最後だね…！？」
隣に座る金森くんが私の方に顔を近づける。
「うん、そうだねぇ…」
言われてみれば、金森くんとも進路先が違う。
理系は同じなんだけど…選択科目が違うんだよね。
「あぁ…残念だ！もう勉強も教えてもらえないし、アニメの話も出来ないかと思うと…！」
「あは、だね…」
大げさに悲しそうに言う金森くんの様子に、ついつい笑ってしまった。
「それに…古賀先生も転勤だしさぁ！！」
「……ッ」
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