人生最高の失恋

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…えっと、それはすなわち…。 恵理ちゃんは先生に、振られた…ってことかな? 「そっかぁ…」 「恵理ー、泣かないでー」 「そうだよー」 恵理ちゃんの周りの女の子たちが一斉に励ましにかかる。 そっか…恵理ちゃん、振られたんだ…。 ハッと、自分が考えてはいけないことを考えているのに気付いて、小さく頭を振る。 何考えてんの、私。 人の不幸を喜ぶようなこと―――…。 もう自分に希望なんてないって思いながら、恵理ちゃんが振られたことを喜ぶなんて。 どれだけ最低な人間に成り下がれば気が済むの? 「夏乃は?」 俯いて唇を噛みしめていると。 「え…?」 頭上から声が降って来た。 顔を上げれば、その声の主は金森くんで。 真顔でこちらを見据えている。 「私?」 なんのことだろう? とぼけつつも、よぎる不安。 まさか…。 「夏乃は?先生に言わなくていいの?」
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