人生最高の失恋

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「言うって…誰に何を?」 心臓が大きく動き出す。 何だか落ち着けなくて、手を組んだり組まなかったりしてみたり。 そんな私に、金森くんは席を立って近づいてくる。 「誰に何をって…決まってんじゃん?古賀先生に告白しなくていいのかってこと」 気を遣ってか否か、金森くんは私の耳元で囁く。 傍から見れば、仲睦まじく内緒話してるなんて風に見えてるのかな。 「……」 「……」 少しばかりの、視線のやり取り。 私たちの周りだけ、静寂が訪れる。 「…いつから気付いてた?」 一つ息を吐いて、私から沈黙を破った。 「うーんと、隣になったくらい?」 ニマッと金森くんは笑う。 「…はは」 乾いた笑いしか出ない。 呆れ。 自分に対して。 「…そんなにあからさまだったかな?」 この際いいやと思って、開き直って聞いてみることにした。 「いや?俺だけじゃない?」 金森くんは椅子だけ引っ張って来て、私の正面に座った。
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