人生最高の失恋

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「…案外観察してるでしょ?俺」 「だね」 首を傾げて得意げに笑う金森くんにつられて私も笑ってしまう。 「すぐわかったよ。視線とかが他の子の視線とは違うなって…」 「そう…」 それはかなりあからさまだったんじゃないのかな? 苦笑交じりの吐息が漏れる。 「ねぇ、行かないの?」 椅子に座ったまま動こうとしない私にしびれを切らしたのか、金森くんは眉間にしわを寄せて私を急かす。 「…無理だよ」 私は上げていた頭を再び下げた。 「恵理ちゃんはすごいと思うよ…。私には無理。覚悟も何も無いし…」 うだうだとする私に本格的にしびれを切らしたらしく、金森くんは椅子から立ち上がり叫んだ。 「俺の胸空いてるから!」 「は?」 バッと両手を開いて私の前に立ちはだかった金森くんに、思わず素で返してしまった。 「な、何言って…」 本人ではない私のほうが恥ずかしくなって辺りを見回す。
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