人生最高の失恋

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「あ…えと、まだ先生が来てなくて…」 「そう…」 先生はゆっくりと目を伏せる。 離任式の時のまま眼鏡をしていない先生の顔は、少し悲しそうに微笑んでいた。 なんとなく先生の顔を見ているのが辛くなって、私は顔を俯かせた。 「あの…恵理ちゃんに、告白されたんですか」 ふと、気になっていたことを聞いてみる。 結果は知っているけど、先生の口から真実を聞くまでは納得出来なくて。 「え?あぁ…知ってるの?」 困ったように苦笑する先生を見て、胸が締め付けられた。 あぁ、ホントみたい。 そのことにホッとしている自分がいて。 何考えてるんだろ、自分。 「…そのことを聞きに来たの?」 不審げに細められた先生の瞳。 慌てて訂正する。 「や!違くて…その…」 「じゃあどうしたの?」 あぁそうだ、私。 先生に告白しに来たんだ。 急に心臓が暴れ出す。 「あの、その…ですねー…」 どうしよう、どうやって切り出せばいいんだろう?
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