人生最高の失恋

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「…え」 目を見開き、先生は一瞬動きを止めた。 「え…え!?」 そして急にあたふたし始めた。 「え?何、告白!?」 「はい」 慌てふためく先生とは対照的に、私の気持ちは落ち着いていた。 それはきっと、これから言われることがわかっているからだろう。 「え、俺、モテ期か…?」 困惑したように呟く先生が面白くて、つい笑ってしまった。 「かもしれないですよ」 「マジか…」 流れるのは、今までと同じ和やかな空気。 でも見えるのは、一つの将来。 「…先生」 静かに先生を呼べば、先生も静かにこちらを向いた。 「返事、もらってもいいですか」 少しだけだけど、微笑む余裕がある。 もうわかってるから、先生がどう答えるか。 「……」 先生は黙って一歩、また一歩と私に近づく。 そうして私たちの距離はお互いの息遣いが感じられるところまで詰まった。 「…向井さん」
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