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「…うん」
ボソッと先生が返事をする。
「だから…ありがとうございました」
「うん……」
それが精一杯だった。
「…ッ」
今にも涙腺が崩壊しそうで、嗚咽が出始めたから。
「ありがと…っ、ございましたっ…!」
もうどうすればいいかわからなくて、吐き捨てるようにそう言って、私はその場から逃げだした。
「はっ、う、うぅーーー…」
零れる涙を堪えられない。
周りには幸いなことに人気がない。
立っているのが辛くなって壁に寄り掛かる。
「っく、う」
どうしよう、今までこんなに泣いたことないかも。
壁伝いにしゃがみ込んで、立てた膝に顔をうずめる。
そっか、これが、失恋するってことなんだ。
泣きすぎてぼんやりする頭で色々と考える。
そっか、そっか…。
思ってたのと違うな、なんか。
もっと痛くて、苦しくて、身が引きちぎれるようなのを想像してたけど。
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