エピローグ

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あれから3年が経った。 今は夏。 私は無事大学生になった。 …といっても、「数学の先生になりたい!」なんて言うことはなく。 元から志望していた学部に行った。 大学の夏休みは長い。 2ヶ月弱くらい。 県外の大学に進学した私は、夏休みの今、帰省することにした。 隣県なので、普通列車を乗り継いで帰る。 8月中はレポートやらサークルやらあったので、9月に入ってからの帰省。 最寄り駅に着いたのは夕方だった。 お昼過ぎくらいにアパートを出たから、そんなに時間はかかってないな。 ちょうど下校時刻だったようで、夏休みの終わった高校生で駅は賑わっていた。 私にもあんな時期があったなぁ…としみじみ高校生を見つめる。 そう、あの時は必死だった。 教室で、心配しながら待ってくれていた金森くんと亜紀に、私は強がることしか出来なかった。 フラれちゃったよ、と。 次の恋でも探さないとね、と。 二人の顔を見ることは出来なかった。
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