エピローグ

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「…ねぇ、切った?」 黙りこくる私にしびれを切らしたのか、先生は質問を繰り返す。 「…あ、はい…」 「ふーん…」 ふーん、て。 そんな言葉で片付けられるものじゃないよ。 「もったいない、綺麗だったのに」 普通に驚いている先生が悔しくて。 しかもサラッと褒めないで。 「だ、誰のせいで切ることになったと思ってるんですか…!」 つい先生に噛みついてしまった。 「…俺のせいなの?」 先生の目がスッと細められる。 そうだよ。 先生に告白してすぐ、私は背中の真ん中ぐらいまであった髪の毛をバッサリ切った。 それで先生への想いを断ち切れるんじゃないかと思って。 それからショートヘアってこんなに楽だったんだ!と、ずっと伸ばしてない。 「……」 その話をすると、今度は先生が黙ってしまった。 二人の間に流れる、いたたまれない空気。 さてどうしようかと思っていると。 「……た」 「え?」 先生がボソボソと口を動かす。
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