エピローグ

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「…と言いますと」 訳がわからなくて先生をひたすら凝視してみる。 「や、わかるでしょ…」 はぁ、と先生はため息をついて、私の腕を握る手とは反対側の手で顔を覆う。 「あれです、デートのお誘いです」 「……」 デート。 その単語が頭の中を行ったり来たりする。 「ええ!デート!?」 「し!声が大きい!!」 恥ずかしいだろ!?と、先生の手が私の口元を覆う。 それだけで身体中の神経が一気に口元に集中する。 あぁやっぱり。 私、先生が好きだ。 「もてなしてくださいね」 「はいはい、ファミレスで」 「え?安っぽ!!」 「は?贅沢言うな!」 あの時、3年前には想像できなかった将来。 こうやって会話を交わすどころか、再会するだなんて思ってもいなかった。 今晩会った時にはどんな話をしよう? 大学の話? 高校の話? それとも。 私がいかに先生を想ってきたか、についてだろうか。
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