会いたかったよ、ずっと。

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初めて会った時はあんなに子供だったのに。 大学に進学しただけで、3年会わないだけで、こんなに変わるもんなの? ジリジリと押し寄せる熱気が、俺と彼女を包み込む。 じんわりと汗がにじみ、息が上がる。 でもこの汗は本当に暑さ故のものなんだろうか…? そう思わざるを得ないくらい、俺は目の前の彼女に釘付けである。 「…先生?」 名前を呼ばれ、ハッとした。 …といっても“先生”は俺の名前じゃないけど。 「う、あ…ごめん…っ」 バッと顔を離し、彼女から距離をとる。 すると彼女の顔が少し曇って、その表情に胸が締め付けられる。 「向井さ…」 「あ、お母さん来た…」 えっ。 声を掛けようとしたら、それは彼女の声にかき消された。 「……お迎え?」 「あ、はい」 彼女は足元に置かれた荷物をまとめながら返事をする。 ……そう。 「じゃあ先生、……夜、どこにいればいいですか?」 「ッ……」
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