会いたかったよ、ずっと。

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「お、お疲れ様です…」 「うん…」 照れ隠しか、ふにゃっと笑ったかと思うと、俯いて短くなった髪の毛で顔を隠す。 あーぁ、何で髪切っちゃったんだろ。 その、さらりと滑り落ちる髪の毛の下で、キミは一体どんな顔をしてるのか。 確認出来ないだろ? 「あ、すいません、これお願いします」 俯いたままレジに持っていたカフェオレを置く彼女。 「108円になります」 明らかにバイトの若い兄ちゃんなのに、ちゃんとした受け答えするから感心していると。 「これでお願いします」 百円玉と十円玉を一個ずつ出す彼女を見て焦った。 いやここは俺が払うとこだろ! 「110円お預かりしま…」 「すいません、アイスコーヒーのレギュラーサイズ1つ追加で」 兄ちゃんの応答を遮ってコーヒーを注文し、台の上に残されていた110円を彼女に返す。 「え、先生…」 「いいから」 彼女は困惑しているみたいだったけど、無視して手に小銭を握らせた。
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