会いたかったよ、ずっと。

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思ったより子供っぽい反応をするので、安心してしまった。 あんまり急に大人になられると、困るから。 「じゃー何が食べたいんですか?」 「今はオムライスの気分です」 「りょーかい」 車を発進させ、ショッピングモールに入っているオムライス専門店にでも行くかと頭を働かせる。 …それにしても。 不思議だ、彼女がこんな近くにいるというのは。 同じ学校にいた時だって別に遠かったわけじゃないけれど。 教師と生徒の距離は、近いようで遠い。 身体的距離は近くても、心理的距離は遠い…と言った感じか。 でも、今は違う。 身体的距離も近いけど。 心理的距離がグッと近くなった気がする。 何がどうしたと言葉ではっきり説明は出来ないけど。 彼女はただひたすら前を向いている。 「…ねぇ、何で約束の時間より早くコンビニにいたの?」 「え?」 その視線を俺に向けて欲しくて。 どうでもいい質問をした。
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