会いたかったよ、ずっと。

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狙い通り彼女の顔がこちらを向いたのを息遣いで感じる。 「その質問、そっくりそのまま先生にお返しします」 「……」 あれ、なんか俺、やらかした? チラッと横目で彼女の顔を見れば、ちょっと得意そうに笑っている。 うわ、なんか悔しい。 「……早く会いたかったから?」 恥ずかしい気持ちを押し込めて、あえて余裕有り気に言ってみる。 「……」 急に黙り込んで俯く彼女。 その沈黙が恥ずかしさを増長させるから、やめて欲しいんだけど。 「…どうしたの?」 信号で止まったのをいいことに、彼女の顔を隠す髪の毛を持ち上げると。 「う、は…先生っ…」 そこには顔を真っ赤に染めた彼女がいた。 「み、見ないでください…!」 その顔を見られたことが恥ずかしかったらしく、赤い顔をさらに赤くする。 あー、もう。 そういう反応やめて。 なんか色々ヤバいから。
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