会いたかったよ、ずっと。

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しかもダメ押しだろうか。 「…私も、早く先生に会いたくって」 なんてはにかみながら言うから。 「……」 ズドン、と。 打ちのめされた。 もう、ヤバいって、ホント。 その、全身で俺を好きだと言っているような態度が。 俺の中にある気持ちを、次から次へと塗り替えていく。 重いけれど気まずくはない。 そんな沈黙のまま目的のオムライス専門店に入る。 「…大学はどう?」 席について注文してから、当たり障りのない話題を出してみる。 「えと、すっごい楽しいです!」 「へぇ、良かったじゃん」 「はい!」 この話題は当たりだったのか、嬉々として彼女は大学生活について話し出した。 勉強内容のこと、サークルのこと、レポートのこと…。 大学には関係なかったけど、湯島さんのこととか金森くんのこととか俺が転勤した後の高校生活についても話してくれた。 つい俺も大学時代の思い出話を話してしまって、オムライスを食べている間、会話が途切れることは無かった。
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