会いたかったよ、ずっと。

14/16
前へ
/172ページ
次へ
そのまま自分の胸に彼女を収め、彼女の肩に顔をうずめる。 「せんせ…っ」 「しっ」 「……」 困惑したように俺を呼ぶ彼女を黙らせる。 3年前の離任式には感じることの出来なかった体温に、自然と俺の腕に力が入った。 その力に応えるように彼女も、くすぐったくなるくらいそっとだが俺を抱きしめ返してくる。 瞬間、溢れ出る。 彼女が愛おしいと、俺の全身が反応する。 「…っ、好き、せんせ…、好き、です…」 震える声でそう告げる彼女に、ゾクリ、体が震えた。 「せんせ、ずっと好きで…んっ」 バッと体を離し、タガが外れたかのように繰り返し告白する彼女の口を、自分の口で塞いだ。 「せんせ…」 「俺はもう向井さんの先生じゃないよ…」 また、キス。 触れるだけのキスなのに、触れた部分が溶けそうなくらい熱い。 「名前、呼んで。わかるでしょ?」 そうしてまた唇を重ね合わせる。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

278人が本棚に入れています
本棚に追加