会いたかったよ、ずっと。

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「っ、あ…稜介さ…んっ」 「ん」 知らないかもしれないと思ったけど、普通に呼んでくれた。 それだけで嬉しくて、心が震える。 正直、冷房のついていないこの空間は、暑くて耐え難い。 でもそんなことも気にしないくらい。 目の前の彼女が愛おしい。 「夏乃」 彼女の目を見て名前を呼ぶ。 彼女の頬は暑さか俺とのキスか、真っ赤に染まっている。 「……好きだった、ずっと」 案じていたより普通に言えた。 でもやっぱり恥ずかしくなって、もう何度目かわからないキスをした。 短くなった髪の毛を、唇を触れさせたり離したりを繰り返しながらゆっくりとすく。 「…ねぇ、何で髪切ったの?」 唇を完全に離さないまま問いかける。 離して今の余裕のない顔を見られるのはちょっと困る。 「…失恋したから」 予想外の単語に、一瞬体がこわばる。 「…失恋?誰に?」 「…せんせ…じゃなくて稜介さん、に」 え?俺?
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