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なんなんだ、この変な気持ちは。
「あ、そうだこの問題!この問題も場合分けですよね!?」
「そうだね」
気づけば、私はやってもいない問題の解き方を聞いていた。
先生と一緒にいたい一心で。
と。
「向井さんごめんね、俺部活行かなきゃ」
眉尻を下げて先生が言う。
そんな時間だったのか。
なんだか急に恥ずかしさが込み上げてきて、顔が熱い。
その顔を先生に見られまいと、うつむいてルーズリーフやペンやらをかき集める。
「すいません、時間もらっちゃって」
「いや、大丈夫」
「あ、ありがとうございましたッ」
早く帰らなければ、と焦って帰ろうとすると。
「また分かんないところがあったらおいで」
「ッ…はい!」
その優しいお世辞に騙されて。
私はまた先生に質問しに行くんだろうな、と思った。
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