問1

19/37
前へ
/172ページ
次へ
なんなんだ、この変な気持ちは。 「あ、そうだこの問題!この問題も場合分けですよね!?」 「そうだね」 気づけば、私はやってもいない問題の解き方を聞いていた。 先生と一緒にいたい一心で。 と。 「向井さんごめんね、俺部活行かなきゃ」 眉尻を下げて先生が言う。 そんな時間だったのか。 なんだか急に恥ずかしさが込み上げてきて、顔が熱い。 その顔を先生に見られまいと、うつむいてルーズリーフやペンやらをかき集める。 「すいません、時間もらっちゃって」 「いや、大丈夫」 「あ、ありがとうございましたッ」 早く帰らなければ、と焦って帰ろうとすると。 「また分かんないところがあったらおいで」 「ッ…はい!」 その優しいお世辞に騙されて。 私はまた先生に質問しに行くんだろうな、と思った。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

278人が本棚に入れています
本棚に追加