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「ちゃんと理解してる?」
「ッ…!」
ずっと先生の手しか無かった私の視界に、突然先生の顔が一面に広がった。
切れ長で、黒目がちな先生の瞳が私を見つめる。
「なっ…なんですかッ!?」
あまりの驚きに少しのけぞる。
「分からなかったら、ちゃんと言ってね?」
眉尻を下げた困ったような顔で見つめられ、頬に熱が集まる。
「は…い」
熱い頬を隠すために手で口許を押さえ、先生から顔を背ける。
近い、近かった。
遅れて心臓の音が聞こえてきた。
先生はどんな様子か、と目だけでそちらを向くと。
「……………………」
腕を組んで窓の外を見ていた。
と、先生の目がこちらを見る。
そして私が先生見ていることに気づくと、横を向いていた顔を私のほうに少し傾ける。
「…!」
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