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そうして。
ニヤリ。
笑ったのだ。
静まりかけていた熱が再び頬に集まり始める。
ワザとか、このやろー!
教師に対してこのやろー!は無いかもしれないけど、それ以外に言葉が浮かばなかった。
「続けていい?」
意地の悪そうな笑顔を浮かべながら、また私の顔をのぞきこむ。
「はい、続けてくださいッ!」
もうヤケクソだ。
その後は、先生に対抗するように「わかりません」を連発したお陰か、問題もだいぶ理解できるようになった。
日が暮れ始め、教室も暗くなってくる。
「他に聞くことある?」
「あ、もう大丈夫です」
いつまでも引き留めるのはよくない、先生にとって迷惑だ。
私が道具をまとめ始めると、先生もお絵描き帳を片付け始めた。
「…これでテスト、60~70点くらいとれますかね?」
沈黙を破るように話題を振ってみる。
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