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「どうしたの?」
「あ、傘が無くてですね、亜紀…湯島さん待ちです」
「ふーん…」
ジッと私のことを見たまま動かなくなる先生。
その瞳に見つめられると緊張する…。
「大丈夫?家、近所なの?」
眉間にしわを寄せ、先生が私に近づいてくる。
「いや、電車乗って帰ります。亜紀…あ、湯島さんに駅まで送ってもらうんです。先生は車ですか?いいですね」
嫌味ったらしく言うと、先生は前に見た、意地の悪そうな笑顔を見せた。
「いいでしょう。乗せてってあげよっか?」
「…は?」
「乗せてってあげるよ、ほら、行こう」
「……」
ニヤニヤと笑いながら不審者じみたことを言う先生に、不審な表情しか返せない。
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