問2

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目を閉じれば、あの時の感覚がよみがえってくる。 それを思い出すだけでも頬が緩む。 甘いような、苦しいような、もどかしい気持ち。 あれから先生とは話していない。 そもそも教師と生徒なんて話はしない。だからこれは普通なんだ。 でもあのことがあってから、私はなんだか欲張りになった気がする。 先生と話したい。もう一回あんなことがないだろうかって。 期待してるんだ。 数学の問題集を手に取る。 もしかしたら、模試関係でまた先生に質問しに行けるかもしれない。 あー、問題集頑張ろ。 …なんだこれ、本気でわからねー。この問題集、解かせる気あんのか。 問題集の難しさに夏の暑さも加わってなんだかイライラする。 先生に聞きに行こうかな、また行ってもいいって言ってたし。 でもなぁ、迷惑かな。 どうしよう。行きたい、行きたくない。 職員室の前で悩むこと数分。 決心した私は、職員室のドアを叩いた。
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