問2

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「そんなひどかったけ?」 「えぇ、そりゃあひどかったです」 「でも見えたことは見えたでしょ?牛には」 「牛!?あんなのが牛だったら誰も牛なんて食べようとも飼おうともしません!」 「…」 私の態度に粘ることを諦め、先生は前のめりになりつつあった体勢を元に戻す。 「ああいうのは得意じゃないんだ、俺は風景画が得意なんだよ」 「…ホントですか?」 疑いの目を先生に向ける。 「ホントホント!今度見せてあげるよ」 「はいはい」 「何その態度」 「…ッ!」 私の適当なあしらいに、先生がまた前のめりになって私に顔を近づける。 「向井さんてさぁ…」 「なんですか」 とっさに顔を背けた私を追いつめるように、先生はさらに近づいてくる。 「すぐ赤くなるよね」 「…ッ、は?何が言いたいんですか?」 頬を手で押さえて、先生から離れようと私は精一杯背中を反らす。 「いや?可愛いなって」 「!!!!!!」
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