問2

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「…っ、あのっ!」 その背中に向かって私は声を掛けた。 「大事にとっておきますね、コレ!」 先生は堪らなくなったのか、ブッと吹き出してこちらに顔を向けずに声を出す。 「いやいや、暑さで溶けるから、早く食べて」 そうして片手を上げると職員室へ戻っていった。 どうしよ、先生から飴もらっちゃった…。 思わず緩んでしまいそうな頬に力を入れ、真顔を作ろうとする。 でも。 「……」 だめ、やっぱり緩んじゃう。 本当は取っておきたかったけど、だめにして捨てるのはもっと悪いと思って、私はその飴を口に放り込んだ。 酸っぱいのに。どこか甘くって。 今の私の気持ちにピッタリだな、そう思った。
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