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う、そでしょ…?
亜紀がいなくなってから静まり返ったものの、それはほんの少しの間だけで。
すぐに会話は再開された。
「買い出し組は?誰が行くの?」
「歩き?チャリ?」
「チャリの方がいいだろうけど…、電車通だとチャリ無い可能性もあるよ」
途切れることなく続く会話を、私はただ茫然と聞いていることしか出来ない。
はぁ、もう帰りたい。
電車の時間なんで。
そう言えればいいのだろうけど、生憎電車の時間まであと45分はある。
と。
「夏乃は?チャリある?」
「え?」
急に名前を呼ばれ、肩が跳ね上がってしまった。
おかしいな、この中で私を下の名前で呼ぶ人(しかも呼び捨て)なんて亜紀くらいしか…。
「大丈夫?ボーッとしてたみたいだけど」
ごめん、大丈夫。
そう言って顔を上げるつもりだった。
でも用意していた言葉が私の口から出ることはなかった。
驚きすぎて、何を言おうとしていたか忘れてしまったのだ。
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